歌声に涙することはなかった。
初めて心の奥底から震わされた。
“山崎ハコ”
日本が失いかけている歌心を、すごく純粋な形で持っている。
このアルバムは大切に聴いている。年に2、3回程度。
以前留学していた頃(乾いていた頃)彼女の曲を聴き
心濡らしていた。
山崎ハコの声だけでなく、
ミュージシャン達の演奏も際立っていて
『青信号』など、熱いロックである。
ボーナストラックには、タイトル曲のシングルバージョンと
『檜原ふるさと』という曲が収録されている。
明るくて優しい、この曲で終わるのがいい。
一番好きなのが、7曲目の『今日からは』。
日本人だからこその悲しさと、希望。
湿った悲しさと、突拍子のない希望。
この歌声に耳を傾ける時、ぼくはひたすら自分の表情を気にするしかない。
他の物事など手に着かず、
なるべく自分が阿保な表情にならないよう注意するばかり。
昭和だとか平成だとか
男性歌手だとか女性歌手だとか
ポップだとかロックだとか
そういうのがどうでもなくなるような
存在感のあるアルバムだ。
しかしこの時まだ二十歳そこそことは…
誰でも弱い嘘つき
責めることなどできゃせん