掘り進めているのは
トンネルなのか
ここでやめたらトンネルではない
敷き続けているのは
線路なのか
長いほど褒められるのだろう
せっせと作っているのは
未来の自分なのか
ここでやめたら名残惜しい
間を埋めておくれ
さびしいのはきらいだ
一個一個が孤立していて
まったく知らん顔をしている
気楽なふりをしていても
こころは焦っていたりするのだ
妙な隙間があるばっかりに
安心を得られないのは気の毒だ
間に、なんでもいい
きみの吐息でも流しこんでくれ
なにか暖かいものを
―――よろしく
おいっ 何をしている
セメントなんか流してしまったら
流してしまったら、 、 、
https://www.breview.org/keijiban/?id=5070
モノクロの牛 × 9頭
牛。
牛。
牛。
牛。
牛!
牛牛。
牛牛。
牛ってのは、
見てて落ち着きますな。
おまけ:『牛飼いの話』
去年書いた詩です。読んで頂けたら嬉しいです。
皆が夜空に夢中になっている時も
牛飼いは牛の世話をしている
時代が変わろうとしているその日にも
牛飼いは牛の世話をしている
世間の人が自分の世話もままならない時にも
牛飼いは牛の世話をしている
牛が糞をするから
牛飼いは牛の世話をせにゃならん
牛の図体がでかくて
牛飼いは日がな一日つきっきり
正当な理由で牛が殺される時も
牛飼いは他の牛に忙しい
それが
牛を飼うことが仕事なのだから
牛飼いも文句は言えまい
https://www.breview.org/keijiban/?id=3511
せせこましさがあだになって
酒をあおり購買意欲を引き出すよ
スランプも水の泡
乾ききった乾燥ヒトデは
水たまりのずうずうしさに腰をぬかす
メスでも女でも降ってこい!
こちらはギックリ丸腰だ
ああ こんなにも美しい夜はまたとないほどに見飽きた
坊主めくりも秋の秋刀魚
ここはひとつまんじゅうの裸踊りで手を打とう
ビルの屋上には希望が錆びついている
コンロの火は消えるまでが弱火だよ
浮ついた気持ちは海に流して
遠くイタリアの見知らぬ友達にサプライズプレゼント
歩くごとに片足ずつ意識するきみは美しく
そしてみんなよりも歯が多い
子どものころよくきみは洗濯機と肩を組んで
ちょっとだけ浮いていたっけ
音楽はまだ始まったばかりの終盤だが
観客の尿意はクライマックスだ
ふざけてばかりでは面白すぎるよ
技能実習生が外交官目指すくらいじゃなきゃ
きみにデスクトップの番人はつとまらない
ほとぼりが冷めたころにテレビは泣きだすのかな
今夜は徹夜で朝の挨拶をしよう
もう何もはっきりしたことはないんだ
日本人の美徳はニッポン人だね
試合終了まで走馬灯を照らしていよう
そうすればみんなの探し物も見つかるかもしれない
死ぬときってきっと自分が他人になるときだ
むなしいのか、おだやかに幸せなのか
いずれにしても誰かとケンカする気分じゃないだろう
こぼれだすのが笑顔なら
ぼくは会議中だってコーヒーカップをゆらすよ
このままぼくの寝顔は見納めだ
間違っても役所なんかに届けるんじゃないぞ
こんなにも美しい夜はまたとないほどに見飽きた
間違っているのが間違いであるのなら
ぼくはきみをぐっすりなぐさめるよ
ほめられた人類ではないのだから
太陽の下で悪人になってやる
太陽の下で悪だくみをしてやる
きみもケモノならぼくと一緒に
心行くまで口ずさんでいようじゃないか
こんなに美しい夜はまたとないほどにありふれているのだから