間(あいだ)

 

間を埋めておくれ

さびしいのはきらいだ

一個一個が孤立していて

まったく知らん顔をしている

気楽なふりをしていても

こころは焦っていたりするのだ

妙な隙間があるばっかりに

安心を得られないのは気の毒だ

間に、なんでもいい

きみの吐息でも流しこんでくれ

なにか暖かいものを

―――よろしく

 

おいっ 何をしている

セメントなんか流してしまったら

流してしまったら、 、 、

 

 

 

 

 

 

 

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https://www.breview.org/keijiban/?id=5070

 

 

失題

 

行方不明である

令和元年五月一日に書かれたこの詩の題名は

どこかへ行ってしまった

 

机の引き出しや

庭先

みかんの房の間

あらゆる場所を探したが

見つからないのである

 

いつのまに食べてしまったのか

汗ばんだ手が消してしまったのか

それとも自分で逃げ出したのか

 

いずれにしてもこの詩は名無しなので

しかし名無しのままでは決まりが悪いので

仕方なく「失題」と付けることにした

 

 

 

 

 

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追記

掃除機の中で喚くものがそれであったが

黒ずんでよくわからなかった