きみとぼくのずれ

 

 

 右目と左目のずれ。  男と女のずれ。  想像力と発音のずれ。 内と外のずれ。 暖房器具とおしくらまんぢゅうのずれ。 秋と冬のずれ。 さびしさとかなしさのずれ。 富裕層と関東ローム層のずれ。 きみとぼくのずれ。 ズレとzureのずれ。 ずれの訪れ。 隔たって訪問してくる音。 音ずれ。 音と音のずれ。 こすりあってまた新しい音が生まれる。 ときたまぼくやきみを訪ねる。 こちらの都合などお構いなしに。 ぼくもきみも居留守を使う。 それじゃあんまりだよ  (だんまりだよ)  すこしのずれを急須が通りぬける。 やかんが沸いている。  もうそんな時間か。  日本家屋が床ずれを起こして鳴りだす。  いそげば間に合う月と太陽の密会。  きみがまばたきをする間に、   誰もかもが隔たりを求めて最寄りの駅へ向かうよ。  電車はいつまでたってもレールの上を走るばかりだ。 たまには発音の速度に想像力を合わせればいいのに。 いつまでたっても凡人にはなれないよ。 どうしたって社会人なんだ。  団塊世代がはじくそろばん。  バター人間がフライパンの上で溶け出す。  いいにおいだ。    きみとぼくのずれ。  長く短いへだたり。

 

どうしたって芸術は生まれるさ。

 

 

 

 

 

 

 

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